【スクワット】ロウバーのメリット | ウェイトトレーニングの根底にあるもの
前回記事で脳死でロウバーを選択肢に入れてくださいと書きました。今記事でその脳死状態から蘇生を行いたいと思います。
今記事はスクワットを行う上でロウバーのメリットを紹介していこうと思います。またロウバーを行うことはウェイトトレーニングの根底にあるものを知るきっかけになると思います。ただ筋力や筋量を上げていくだけがウェイトトレーニングの役割ではない。と常日頃から伝えていることが少しでも理解してもらえると幸いです。
ロウバーのメリットに入る前に根底を知ってもらってからの方が、流れが掴みやすいと思いますのでそちらから説明します。
ウェイトトレーニングの根底にあるもの
ウェイトトレーニングを深く理解するには、自分とシャフトに作用する力を理解することが不可欠です。どのスポーツも、身体を外的要因に対応しながら、筋収縮で生まれたエネルギーを運動動作に変えなくてなりません。
シャフトを担いだり持ったりする荷重化で、自然な身体の動作を行うためには効率的に身体を機能させなくてはなりません。できるだけ可動域を大きく使い、できるだけ多くの筋肉を動員し、できるだけ大きな重量を上げるように工夫をしなければなりません。
そうすることにより、最も効果的な筋力の適応を引き出すことができます。
では何を意識してウェイトトレーニングをすれば良いのか。それはモーメントアームです。…ここで離脱されそうでビクビクしていますが、説明を続けます。
モーメントアームとは何らかの軸を中心にして回転を生もうとする力です。例えば扉の蝶番やボルトを締めるスパナやレンチの柄の部分、またシーソーやブランコなど日常にもモーメントアームを利用したものが多くあります。
ここで考えなくてはならないのは「力の伝わりやすさ」です。扉を開ける時、皆さんはどこを押して扉を開けますか? ほとんどの人が取っ手を押すと思います。取っ手は蝶番(軸)から遠いところにあるので少ない力で扉が開くので運動効率が良いということです。
逆に蝶番(軸)に近いところを押すと、必要以上に力を込めなくてはなりません。これでは運動効率は下がります。
シーソーでも考えてみましょう。中心軸から遠いところに座るとモーメントアームが長いので軸にかかる運動エネルギーは大きくなり落下速度が上がます。小学生の時に自分が上にいる時に友達にシーソーから降りられお尻を強打してました。
逆に中心軸から近いところに座れば、緩やかに落下し衝撃もほぼないでしょう。つまり軸にかかる運動エネルギーが小さいということです。
これらを自分の身体で考えなくてはなりません。これができてるか、できていないかで運動ができるのか、できないか別れると言っても過言ではありません。
例えば買い物袋を持って歩いて帰ったとしましょう。
・腕を前に真っ直ぐ伸ばした状態で持ち、歩いて帰った(身体の軸から遠ざかる)
・腕を下に真っ直ぐ伸ばした状態で持ち、歩いて帰った(身体の軸とほぼ同じ)
どちらの運動効率が良く疲れずに帰ることができるでしょうか。答えは簡単ですね。後者です。買い物袋と自分の軸のモーメントアームがほぼないので筋肉の収縮は最小限で抑えられます。
これは分かりやすい例でしたが、スクワットやベンチプレス、その他のスポーツ全てに発生してる力の原理です。モーメントアームを理解すれば、効率よく身体を使ってパフォーマンスできるきっかけになります。
ロウバーのメリット
皆さんお待たせしました。前置きが長く小難しい内容でしたが、前回、脳死でロウバーを選択肢に入れていただきましたが、この記事を読んで合理的にロウバーを選択していきましょう。
スクワット行う際はシャフトに絶えず重力がかかっており常に下に引っ張られている状態です。スクワットで生まれる背中のモーメントアームの長さは常に軸となる股関節からの距離になります。
ハイバーとロウバーのボトムポジションを実際に見比べてみましょう。
ロウバーとモーメントアーム
ロウバーのポジションで担ぐと股関節との距離が近くなり腰にかかる負担が軽減できます。
さらにグリップポジションを狭く持っているため、背中に力が入りやすくなります。
背中が曲がり腰に負担がかかることを抑制してくれ、怪我のリスクが減ります。
ハイバーとモーメントアーム
ハイバーのポジションをロウバーと見比べてみましょう。股関節とシャフトのポジションが遠いことが分かります。
これにより背中に掛かる負担がロウバーよりも高くなり、より力まなくてはなりません。
疲労してきた時に背中の筋肉が抜けて姿勢が悪くなり、腰をぐきっ! なんてことも起こりやすくなります。
ロウバーの特徴はリスクを抑えることができます。しかし、僕が伝えたいことは、背中のモーメントアームを減少させることではありません。
今度は自分の軸とシャフトのモーメントアームを確認してみましょう。
ロウバーと自分の軸とのモーメントアーム
ロウバーを担いでいる位置は自分の軸のほぼ真上です。これによりモーメントアームの調整が不要になり、このままヒップドライブをかけていけば身体は直立に戻っていきます。
これにより力の伝え方や動作は非常にシンプルになり、臀部や内転筋、ハムストリングに適切な刺激が入ります。
また、扱える重量も上がり筋量、筋力アップに大きく貢献します。
ハイバーと自分の軸とのモーメントアーム
一方ハイバーと自分の軸には、わずかながらモーメントアームが発生します。ボトムポジションで、バーが自分の軸よりも前方にあると、重心をつま先に移動させ膝も同時に前に進む可能性があります。
こうなると、前ももやふくらはぎで力を発揮し立位に帰ろうと働きます。
仮に重心を移動させずに済んだとしても、それを成立させるために不要なエネルギーを使っていることは事実です。つまり不要な力みを生むということです。
それならばそのエネルギーを正しい方向に使用した方が、より良い結果を得られるでしょう。
以上のように、スクワットでは2つのモーメントアームに気をつけて行えば少しづつ要領がつかめると思います。僕が強くロウバーを推したい理由は後者です。ただ脳死でしゃがむより、合理的にロウバーを選択し、なぜしゃがむのかを考えてもらえると幸いです。
これまでの過去の記事で体系的なスクワットの基礎部分は書けたと思いますので、復習を兼ねて読み直し実際にしゃがんでみてください。
いかがでしたでしょうか。ここまで読んでいただいた方はスクワットの足の幅や角度、シャフトの握り方や担ぐ場所、ヒップドライブの掛け方やボトムポジションの位置を理解しているかと思います。ならばあとはしゃがんで実践するのみです。ノウハウより大事なことは実践することです。
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