【デッドリフト】正しい姿勢・S字 | 下背部のドリルエクササイズ

デッドリフトにおいて、背中や腰以外の部分は正しく行えなくても深刻な問題にはなりませんが、背中と腰、特に腰がまるまると安全性に問題が出てきます。今回の記事では「背中の姿勢を正す」というテーマで書いていきます。
デッドリフトに限らず、スクワットやクリーンやその他のプル系種目で高重量を扱うトレーニングには背中の怪我が付きものです。
一つでも多くの腰を守れれば幸いです。
背中の姿勢
前回記事で、デッドストップで胸を張ろう。と書きました。しかし多くの方がこの姿勢をとることが出来ません。
なぜなら骨盤をハムストリングと下背部でバランスをとる際に、ハムストリングに下背部が負けてしまうからです。
ですのでまず、立位で背中の姿勢を理解するところから始めましょう。
あらゆる種目で胸を張ろうと表現が出てきますが、張り方にもコツがあります。

脊柱の自然なS字
骨盤は僅かに前傾しますが、過度に前傾させたり、肩甲骨を寄せるのは間違った胸の張り方です。
これにより脊柱の湾が必要以上に大きくなり、負荷がかかった時に耐久性として脆くなります。
正しくは胸郭(あばら)を上に引き上げヘソや、みぞおちが引き伸ばされる感覚です。
トレーニングの基本はこの姿勢であり、「胸を張って」と指示が出た場合は左側のフォームを心がけましょう。
胸を張ると同時に行うのが、背中を反る動作です。少しお尻を上に突き上げるような意識になります。多くの方がデッドリフトの最中に腰がまるまります。それを防ぐためには背中や腰を反り、骨盤を前傾位に持っていかなくてはなりません。
まずは正しい脊柱の位置というものを立位で確認してみましょう。上記の形をどの局面でも崩さないことがデッドリフトを安全に行う上で最重要になってきます。
地面に置いたシャフトを握った時に、骨盤と腰椎がハムストリングに引っ張られるとこの姿勢をキープすることが難しくなります。柔軟性にもよりますが、立って腰を腰を反らせている時ほどできないはずです。
女性は柔軟性があるため腰椎のポジションを取りやすいかと思いますが、過剰に反ってしまっている方もいるので気をつけましょう。腰が反りすぎた状態で負荷をかけすぎるのも椎間板を壊す原因になります。
改めて言いますがデッドリフトの目的は、腰椎の過伸展を目指したいわけではなく、脊柱の自然な湾曲を保つことを目指すわけです。
そこで筋量や筋力を増やしていくことが大前提であり、この脊柱の自然な形がパフォーマンスの向上に役立つのです。
しかし、スタートポジションで脊柱の自然な湾曲を保つためには腰椎を過伸展させるくらいの意識で取り組まなくてはなりません。それくらい過剰に行わないと成立しないということです。
なぜ下背部はこんなにも意識しにくいのか
腰の問題を解決するには、腰椎まわりの筋肉がどういう働きをするか、腰椎まわりの筋肉が働くとどういう感覚があるか、腰椎まわりの筋肉を毎回働かせるにはどうすればいいかを理解する必要があります。
デッドリフトで腰をまるめながら行っている本人は、ほとんどの場合まるまっていることに気がついていません。何が正しい姿勢で、何が正しくない姿勢なのかを感じ取ることが出来ません。デッドリフトに限らず、スポーツ動作を行うためには運動感覚が必要です。
自分の身体や身体の各部分が空間の中でどういう姿勢や位置にあるのかを感じ取る能力です。これが欠如してしまうと、主観と客観に乖離が生まれます。下背部が意識しにくい理由を一つ上げるとするなら、皆さんは自分の下背部を見ようとしたことはありますか?
ほとんどの方は見ようをしてこなかったと思います。なぜなら見えないから。肘を伸ばそう、膝を上げよう。これらは見えますね。見れば自分がどうなっているのか分かります。
それに対して下背部は自分の後ろにあります。下背部が曲がっているのか、伸びているのか分からないのは、そこで働いている筋肉が見えないのも要因だと思います。実際にまっすぐ立ってくださいと伝えても背中がまるまってしまう方も存在します。本人にとってはまっすぐなのです。
ではどうしたら良いのか。一つだけドリルを紹介したいと思います。
とてもシンプルな動作です。ただ気をつけなくてはならないことは1点だけです。
足を伸ばした状態をキープすること。
これだけです。足を伸ばす理由は下背部に集中するためです。本来この動作は軸が胸郭のため上背部の運動になります。しかし、足を伸ばしきり高いところでキープするように心がけると、軸が腰椎に変わり下背部のトレーニングになります。
これを10回から15回行う頃には下背部が熱くなり使用感が出てくると思います。
立ち上がったら同じ感覚を意識しながらデッドリフトの動作を行ってみましょう。繰り返し下背部の感覚を掴んでいかなくてはデッドリフトは習得できないので根気よく向き合っていきましょう。

いかがでしたでしょうか。背中の怪我は脊柱に関わるものがほとんどです。椎間板や椎間関節は負荷がかかった状態での不自然な動作に弱いものです。不自然な動作を起こさないために背中の筋肉を強くするのです。
正しいデッドリフトのトレーニングフォームを習得することは大変なことですが、脊柱の安全を守ることと強い体幹を作ることに貢献します。競技に必ず役に立つことを保証します。
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