【デッドリフト】シャフトを降ろす軌道 | 切り返し動作

脊柱の正しいポジションを理解したところで、実際に持ち上げたシャフトを降ろす局面を実践していきましょう。
簡潔に言うなれば、シャフトを降ろす動作は持ち上げる動作の反対です。背中がまっすぐに保たれ胸を張った状態で立っているのであれば、降ろしはじめの動作は股関節と膝関節を曲げるところから始まります。
シャフトの床までの軌道は必ず垂直線上に動かさなくてはなりません。なぜなら重力の影響を全面に受けるからです。重力を考えた上で股関節と膝関節を動かさなくてはなりません。
デッドリフトのフロー
デッドリフトは背中をまっすぐに固めたまま股関節と膝関節を動かなくてはなりません。順に動作をみていきましょう。

背中を固定し胸を張る
ニュートラルな立位から降ろす動作は始まります。この時にすでに背中が丸まったり腰が反っていたりすると腰を痛める原因となります。
必ず自分の軸を理解するためにもニュートラルな立位は分かるまで練習しましょう。

股関節と膝の緊張を解く
立位からの初動は両関節の緊張を解くところから始まります。
上半身の角度は最終的に深くなるので、ある程度傾けていいのですが、膝関節は緩く曲げる程度に抑えましょう。
ここで膝を曲げすぎてしまうと後々シャフトの通り道がなくなり、垂直線上に降ろすことが困難になります。

背中をまっすぐのまま、お尻を後ろへ
背中をまっすぐに保ったままお尻を後ろへ引いていき、上体を倒していきます。その際にハムストリングにストレッチ感がかかっていれば問題ありません。
シャフトは太ももに沿って降ろします。
ストレッチ感を感じない方は膝を曲げ過ぎの可能性があり、上体も倒れず、膝も前に押し出されシャフトの軌道の邪魔になっているのではないでしょうか。

膝を越えたら膝を曲げる
シャフトが膝を越えてきたら膝を曲げていきましょう。膝は股関節と共に同時に曲げていきましょう。
あとはプレートが床に付いた時、デッドストップの形になっていれば上手に降ろすことが出来ています。
膝を曲げ始めると同時に上体を立位方向に傾けてしまう方が多くいるので、膝が曲がり始めても上体は倒したまま動いてください。
写真の角度が背中の筋肉を常に緊張させる姿勢です。
これらの動作の順序から外れると上手くいかなくなり膝や腰を痛めたりしてしまいます。
先にも書きましたが、股関節よりも先に膝が前に出ると膝がシャフトの前に出てしまいます。そうなるとシャフトは膝をかわす軌道を通らなくてはなりません。つまり重力に抗う動作をしなくてならないので大変効率が悪いですし高重量にになったらかわすことは困難になります。


また膝が前に出過ぎると、かかとが浮きそうになり自分の軸も崩さなくてはなりません。初動は必ず股関節を優位に閉じ、思い切ってお辞儀をしに行くくらいで丁度いいです。
ボトムからの切り返し
シャフトを切り返し引き上げる際には背中の角度が変わらないまま膝と股関節が共に開き始めます。この時に背中の角度を維持しているのはハムストリングの役割です。ハムストリングが弱いと姿勢は崩れます。
降ろす時は股関節を優位に閉じていきました。上げる動作は反対の動作なので膝関節から開いていかなくてはなりません。
上記のフローを逆に辿っていけば問題ありません。誤って股関節から開いてしまうと膝が邪魔になりスネをシャフトで削ることになります。シャフトに血がついたりしていたら、違う動作をしてしまったと思いましょう。
そしてスネを削る行為は地味に痛くお風呂で沁みます。
本当に重量が重くなってくるとバランスが前に傾いた状態では挙げられないのでシャフトが膝をかわすという問題は起こらなくなります。
膝の角度が先に開いた場合はスネの角度が立位に近いのでシャフトの軌道を邪魔することはありません。それによりシャフトは綺麗に上昇し正しい軌道を通るはずです。

そしてデッドリフトはスクワットやベンチプレスのように伸長反射を用いたバウンドが使えません。だから強烈にキツいのです。
中にはプレートをバウンドさせている人もいますが、基本的には止めた方が良いです。いかに理由をまとめます。
- 姿勢が崩れる
- 仕事量が減る
- 引く筋力が養われない
姿勢が崩れる
切り返しの際にバウンドさせるということは一時的に身体の力を抜くということです。すなわち姿勢を崩します。バウンドさせてすぐに身体を緊張させたとしても脊柱は重りを支えなくてはならないので絶対に崩れます。
さらにほとんどの場合、落としたタイミングが左右対称にはなりません。プレートの設置に時間差があるとシャフトのバウンドは真上にはなりません。そのツケは必ず身体に返ってきて怪我のリスクを増大させます。
仕事量が減る
本来なら床から丁寧に引き上げなくてはならないところ、バウンドした僅かな距離をサボることが出来ます。
仕事量の求め方は「力×距離」です。バウンドさせれば力も抜けるし距離も短くなります。つまり仕事量は自分が思っている以上に減る可能性があります。しかし目の前の重りは重たいものが扱えるので気分は達成感で満ち溢れていることだと思います。
冷静になり、自分の目的を思い出すことをお勧めします。
引く力が養われない
デッドリフトの特徴にデッドストップというものがあります。これは脊柱を整え引く準備の構えです。ここに引く力の根源が存在します。これを養わないとクイックリフトなども伸びません。
高重量を扱うときにデッドストップからの初動がかなり重要な動作になります。
ごまかしのデッドリフトをせず、長期的に見て引く力を伸ばさなくてはなりません。必ず、1回1回丁寧に脊柱を作り引き上げましょう。
上記の3つだけでも抑えて今日から背中を鍛え姿勢を正し威圧感を放っていきましょう!

いかがでしたでしょうか。実際にはもっと細かいことは存在するので、一つ一つテーマを絞って伝えていきたいと思います。
これまでのデッドリフトの記事もおさらいして一つでも多くの腰椎を守り、一つでも多くのカッコいい背中が増えれば嬉しいです。
南青山にございますAGELCApersonalgymぜひチェックしてみてください。

