【トレーニング理論】力発揮とパワーは別物 | 適正な重量設定

パワーを効果的に鍛えるにはどうすれば良いのか。ウェイトトレーニングをして重量は100kg以上扱えるようになったのに、垂直跳びや立ち幅跳びなどの瞬間的な動作に変化が見られない。ウェイトトレーニングは意味があるのかな?
そんな悩みを抱えている方は、力発揮とパワーを区別するところから始めましょう。
力発揮と速度
まずはこちらの図を見てみましょう。

これは速度とパワーの関係を示したグラフです。(The Aasgaard company 2013より)
縦軸がパワー値で横軸が重量です。
滑り台型の点線が物質の移動速度を示し、山型の実線がパワー発揮を示しています。
グラフ左側は重量が軽くパワーは低くなっています。これは軽い重量を素早く動かすのは簡単で、大きな力を出す必要がないからです。
加えて右側でもパワーが低くなっています。これは非常に大きな重量を素早く動かすことができないからです。パワーには速度が必要です。馴染みの言葉で言えば瞬発力だと思います。
上のグラフを見るとパワーの適正値は、パワー強化種目の50%~75%の範囲で最大になります。これはそれなりに重いけど、少しだけ余裕があり速く動かすことが可能な重量になります。
つまりパワー発揮種目を毎回1RMの重量でトレーニングを行っていると、力は発揮しているけど速度が遅くなりパワーは発揮していないということに繋がります。ですので、瞬間的に動く瞬発力の適応は起こしていないということになります。
この力発揮とパワーの違いを認識したうえでトレーニング内容を考えなくてはなりません。
パワーを鍛えるのに筋力は必要なの?
パワーを鍛えるのが目的なのに、スクワットやデッドリフト、ベンチプレスで筋力を鍛える必要あるの? これもよくある質問です。
確かに反対の理屈になります。筋力強化種目の1RMは上のグラフだと、発揮しているパワーは最大パワーと比べるとかなりの落差があります。
しかし筋力は物質を動かす能力です。250kgの重量をデッドリフトで挙げられる人は、100kgしか挙げられない人よりも、パワークリーンは確実に大きい重量を持ち上げることが可能です。
それは力を発揮する能力に大きな違いがあるからです。
シャフトを加速させるには力が必要なので、より速く挙げるためには、より大きな力を出さなくてはならないのです。
ですので、パワーを目的にしていても土台の「力発揮」という能力は確実に必要となります。力発揮無くしてパワー無しです。
だからこそ、トレーニング内容を単調にしてはいけません。「最終的にウェイトトレーニングで何を獲得したいのか」ここを明確にしておかないと、なんとなく重量を追って、重さは扱えるのに、なんにも変わらない。なんてことになってしまいます。
僕はアスリートやマスターズ、ランナーさんを多く指導していますが、個人に合わせたプログラムを作るのが一番難しく大変な作業だと感じています。
今、身体にどのような適応が必要なのか。力の発揮を求めるのか、パワーを上げなくてはならないのか。狙った試合が遠いから追えるものがあるし、逆に近すぎたら追えないものも存在します。
繰り返しますが、まずは力発揮とパワーを区別してトレーニングを見直してみるのも良いと思います。

いかがでしたでしょうか。上のグラフを何度も見て、自分の目的と合っているのか、それとも全く違うことをしてしまっていたのか確認してみてください。
またAGELCAでは一人一人に合ったトレーニングを狙った試合から逆算して、周期を分けてピーキングできるようにプログラムを作成しています。
南青山にございますAGELCApersonalgymぜひチェックしてみてください。

